
こんにちは、とっちゃんです。
今日は、インデックス投資のバイブル的な本と位置付けられている「ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第12版)」を読みましたので、個人的な書評を記事にしたいと思います。
この本を読んでみて、自分なりの解釈や気づきを踏まえ、今後の自身の投資にどう生かしていくのかをまとめてみましたのでぜひ読んでみてください。
・インデックス投資に興味がある人
・比較的安定した資産形成をしていきたいと思っている人
・インデックス投資を始めたけど、ポートフォリオがこれでいいのかと迷っている人
著者・本書について
筆者はプリンストン大学の経済学の教授であるバートン・マルキール氏。大学教授に加えて、世界で最も有名なファンドの1であるバンガード社の社外取締役も行っていたという超エリートです。
そのマルキール氏が書いた「ウォール街のランダム・ウォーカー」は1973年に個人投資家向けの投資の指南書として発売され、改定を重ね12版に至るベストセラーとなっており、インデックス投資のバイブルのような本となっています。
本書の核論
本書は500ページ以上のボリュームある本ですが筆者の核論はいたってシンプル。まえがきにすぐに出てきます。
「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを持っているほうが、遙かに良い結果を生む」
ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第12版) 1項より
筆者の言いたいことはこれです。上記の主張については私は非常に共感します。
実際、私は個別株の売買から投資デビューしましたが、個別株の売買で結果が出されるようになるまで多くの失敗を繰り返し、最近では結果が出るようになってきたものの、時間的にも相当なコストを掛けてきました。
一方でインデックス投資を知ったのは、つい最近の2020年になってからですが、個別株で利益を上げるよりも確実で再現性が高く、早くインデックス投資を知っていればもっと早く資産を拡大させれたのになぁ、と思っています。
私の投資でどのような失敗をしてきたかに興味ある方は以下の記事もご覧ください。


本書の構成・概要
本書は4部構成になっております。ざっくりと4部の概要を紹介します。
第1部:二大流派とバブルの歴史
投資手法には大きく砂上の楼閣派(テクニカル分析派)とファンダメンタル分析派に二大流派に分かれると説明しています。
そして、「砂上の楼閣」は、時にとんでもない価格を作っては崩壊するというバブルとその崩壊の歴史を繰り返してきたことを紹介しています。以下がこの本で紹介されている過去のバブルの歴史です。
17世紀 チューリップバブル(オランダ)
18世紀 南海会社バブル(イギリス)
1960年代 トロニクスブーム(アメリカ)
1990年代 不動産バブル(日本)
2000年代 インターネットバブル(アメリカ)
2018年 仮想通貨バブル
私はこの本を読んで、今が後に「コロナバブル」と呼ばれるような状況にあるかもしれないなと、ふと思い「もしバブルが崩壊したときにどう立ち回ろうかを考えておこう」と身が引き締まりました。
第2部:2大流派のお手並み拝見
第2部では、筆者はテクニカル分析派とファンダメンタル分析派ともコテンパンに否定しています。まず、テクニカル分析派とファンダメンタル分析派について簡単に紹介します。
テクニカル分析派:株価チャートから将来の株価を予想できると考える人たち
ファンダメンタル分析派:企業の財務諸表、株価指標(PERやPBRなど)から将来の株価を予想できると考える人たち
まず、テクニカル分析が無意味であるという理由の説明として、学者の研究ではチャート分析をして株を購入した結果と猿がダーツを投げて株を購入した結果が変わらないという統計結果が出ていることを紹介しています。つまり株価はランダムに動くというランダム・ウォーク理論が成り立つと説明しています。
また、ファンダメンタル分析に対しては、プロの投資家たちが銘柄選定をして運用するアクティブ運用のほとんどがインデクスファンドに勝てていない事実を基にファンダメンタル分析が無意味であると主張しています。
第3部:新しい投資テクノロジー(MPT、スマート・ベータ、リスク・パリティー)
第3部ではMPT(現代ポートフォリオ理論)や新しい投資手法であるスマートベータやリスクパリティーといったものを紹介しています。
MPT(現代ポートフォリオ理論)
MPT(現代ポートフォリオ理論)を超簡単にまとめると、それぞれ異なる動きをする資産クラスを組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを低減させつつリターンを大きくできる点が存在するということです。MPTについての説明を複数のデータを用いて論理的に説明してくれています。
スマート・ベータ
「スマート」は賢い、「ベータ」は市場平均連動性を意味します。
スマート・ベータを支持する人たちは、時価総額加重平均の指数は必ずしも「最適ポートフォリオ」とは言えないと考えており、売り上げや配当、ROE(自己資本利益率)、株価変動率など、特定の要素にウエイトをかけて、より効率的な運用するという考え方です。
日本のGPIFはが採用している指数の「JPX日経インデックス400」がスマート・ベータ型のようです。
アクティブ運用(プロが独自に銘柄選定して運用)とインデックス運用(指数に連動して運用)の中間であると言われており、インデックス投資よりもより高いリターンを狙いつつ、アクティブ運用よりも低い手数料を目指すというものだと理解しました。
リスク・パリティー
リスク・パリティーとは、単純に高リスクの資産クラスから成るポートフォリオよりも、高リスクの資産クラスに低リスク・低リターンの資産クラスにレバレッジをかけたものをポートフォリオに加えることで、リスクに対するリターンが高くなるという発想です。
本書ではリスク・パリティーの例として以下の表を用いています。標準偏差がいわゆるリスクを意味します。2007年~2016年の10年間でS&P500のみで運用した場合の年平均リターンが8.6%、標準偏差(月)が2.0%なのに対して、10年物米国債に2倍のレバレッジを掛けた場合の年平均リターンは10.2%、標準偏差(月)1.6%となり、S&P500よりもリターンは高く、リスクは小さいという状態になります。


上記のような低リスク・低リターンの債権にレバレッジを掛けた商品でポートフォリオを組むことで、株式100%や伝統的な株式60/債権40のようなポートフォリオよりも、 リスクに対するリターンが高くなる点が存在すると説明しています。以下が本書で出てくるグラフに表したものになります。


楽天投信投資顧問が作った「USA360」なんかがこのリスク・パリティー理論を取り入れた商品にあたるかと思います。「USA360」については、今度別の記事で紹介したいと思います。
第4部:ウォール街の歩き方
第4部では筆者はこれまでの説明を基に、株式相場の歩き方を3つ紹介しています。
- 思考停止型:思考停止してインデックス・ファンドを組み合わせて運用する。
- 手作り型:ポートフォリオの一定割合はインデックス投資をしつつ、ポートフォリオの一部で個別株投資をする。
- 専門家型・・・良い投資アドバイザーを雇うのも1つの手であると言っています
この本を読んで自身の投資取り入れたいポイント
以下では私がこの本を読んで自身の投資に取り入れたいポイントを紹介します。
①手作り型のポートフォリオ
第4部の「ウォール街の歩き方」で紹介されている3つの歩き方の中で私は「手作り型」のポートフォリオを取り入れることとしました。
私はこれまでチャート分析を活用するスイングトレードや、ファンダメンタル分析を活用する日本の高配当株でいくらか利益を上げてきていますので、テクニカル分析やファンダメンタル分析が全く無意味だとは思っていません。
ですが、安定的に利益を上げていくことは非常に難しいと認識しており、筆者の主張のように、個人投資家が効率的に資産形成をしていく手法としてインデックス投資が最適解であることには納得しております。従って、私はこの本の第4部で提唱する「手作り型」の投資方針を行っていくこととします。
具体的には、インデックス投資をコアとしつつ、サテライトのテクニカル分析を駆使してスイングトレード、ファンダメンタル分析を駆使して日本の高配当株への長期投資を行っていこうと決めました。
②分散投資
MPT(現代ポートフォリオ)の説明の中で、100%アメリカ株(S&P500)で運用するよりも、リスクとリターンの高いEAFE(ヨーロッパ、オーストラリア、極東)先進国株を混ぜると、ある一定の割合まではリターンを向上させつつ、リスクを低減させることができると説明されています。以下のグラフを参照ください。


この理論を基に、私はインデックス投資はS&P500と全世界株を組み合わせて、上記と同様の割合になるようなポートフォリオを組んでみようかなと思います。
③リスク許容度を安眠水準で測る
よく、「自身のリスク許容度の範囲内で投資をしましょう」といったことを耳にすると思いますが、自身のリスク許容度はどうやって測ったらいいかわからないとう人もいるかと思います。実際に私もそうでした。
本書では、自身のリスク許容度を安眠水準で測ることを紹介しています。例えば、自身の保有しているポートフォリオの値下がりが気になって不安で眠れないというのであれば、それはリスクの取りすぎであると言っています。
過去振り返ってみると、インデックス投資と出会う前、私は全資産の50%ほどで日本の個別株に投資をしていた時期があり、その時は先物の動きが気になったり、米国相場の動向が気になったりして安眠水準が下がっていたかと思います。明らかにリスクを取りすぎていました。
今後は個別株の取引は資産の10%程度までと決めて運用していくこととしました。
まとめ
本書は学者の視点から、インデックス投資の有効性を説明しつつ、分散投資の効果やリスク許容度の測り方、ポートフォリオの組み方など、インデックス投資の具体的な方法論まで指南してくれる良書だと思いました。インデックス投資家のバイブルとして位置づけられる理由がわかりました。
また、私自身が役立ったポイントとして3点挙げましたが、それら以外にも多くの役立つ情報が記載されておりますので、ぜひ気になる方は手に取って読んでみてください。
一方で、総ページ数は500ページを超えており且つ専門的な単語や知識が頻出します。ですので、投資を始めたばかりの初心者の方にも解読するのは少し難しいかもしれません。
私も完全には理解できていない点もございます。時間を空けて読めばまた新たな発見があると思いますので、この本は手元に置いておこうと思います。